ナビブラ×イケブラ?! 普段は聞けない本音満載?!
神田古書店街のイケメンブラザーズ緊急対談!

「古本屋に興味はあるけど、何となく敷居が高い気がして、入りづらい…」そう感じているナビブラ世代は、実はとっても多いはず。そこで神田古書店街のイケブラ★玉英堂書店の斉藤さん&日本書房の西秋さんに緊急インタビュー! 普段はなかなか聞けない素朴な疑問を直撃。とても気さくなお二人の素顔溢れる対談です。

イケメンブラザーズ写真
プロフィール
(左)玉英堂書店 斉藤良太さん

靖国通り沿い、創業100年以上の老舗書店の4代目。初版本や自筆物など、貴重で珍しい書物「稀覯本」を中心に扱っています。

(右)日本書房 西秋幸男さん

白山通り沿い、神田古書店街の現役最長老店主のお孫さん。主に国語・国文学ジャンルの一般向け書籍や研究書などを扱っています。

Q :
ナビブラ世代にとっては、『古本屋』といえば、まず『頑固おやじがいそうで怖い』というイメージがあるのですが…
斉藤 :
僕もこの世界に入った当初、「どの店も入りづらいなあ」と思いました(笑)
西秋 :
僕もそう思いました(笑) でも、うちの祖父も父も、家では決して怖くないですよ。
Q :
また、誠に勝手ながら、年輩の方が多そうなイメージもあります。
斉藤 :
それが実はそうでもないんですよ。今の古書店街は、僕らの同世代、30代の仲間がたくさんいます。イケブラもあと3人はいます(笑) もっとイケブラも結構います(笑)
西秋 :
お店の取扱ジャンルによっては、客層に比較的年輩の方が多い場合はありますね。でも、特に古本屋全体で高齢化が進んでいるわけでは決してないんですよ!
Q :
古本屋さんは、毎日本ばかり読んでいる、博学なイメージも大いにありますが…
西秋 :
僕はテレビも雑誌も大好き(笑) もちろん本も読みますけど。たまたま古本屋に生まれたので、昔から古本は身近にありましたが、そればっかり読んでるわけじゃない!
斉藤 :
僕は長い本はあまり読めない(笑) 西秋君から勧めてもらった本をいつも読んでます。
西秋 :
雑誌は、特に『JJ』や『Cancam』が好きですね。
Q :
それは今の若者のマーケットを知っておくために?
西秋 :
もちろん、それもありますね。相沢沙世さんのファンなので『CLASSY』も読んでますよ(笑)
「実は、OLランチがちょっと憧れ(笑)」
Q :
お二人とも、実はサラリーマンのご経験がおありだとか。
斉藤 :
僕は、はじめは家業を継ごうという意識はあまりなくて。大学卒業後は、企業に5年間勤めました。いろいろな変化やタイミングがあり、古本屋に入ったのはちょうど30才手前。
西秋 :
僕は昔からバリバリ継ぐ気でしたよ! 僕は三男なので、特に後継のプレッシャーなどは何もなかったんですけど(笑) 社会経験のつもりでサラリーマン生活もしましたが、割とすぐに家業に入りましたね。
Q :
古本屋さんと一般のサラリーマン生活で、違うところはありますか?
斉藤 :
通勤ラッシュは同じ(笑) 僕は通いなので。
西秋 :
僕も、幼少時代は店の二階に住んでましたが、今は通い。
斉藤 :
タイムカードはないけど。
西秋 :
IDカードもないな。実はあれ憧れ! 首からカードをぶらさげて、財布を小脇に抱えて毎日ランチしてみたい(笑)
斉藤 :
エプロンはサラリーマン時代にはなかった新アイテムだよね。
西秋 :
このオレンジ色のエプロンしてランチをしてる人がいたら、それは僕らの仲間と思ってください。
Q :
お休みなどは?
斉藤 :
今は基本的に週休1日。減った(笑)
西秋 :
古本屋は日・祝だけです。
斉藤 :
給与制は変わらないけど、残業代はなくなったな。
西秋 :
うちもなし(笑)
Q :
私たちには想像のつかない、古本屋さんのお仕事内容を教えてください。
斉藤 :
市場がある日は、僕ら若手は、朝から仕分けなどの力仕事が中心。12時ぐらいから各店の店主が市場へ来て、入札。そのあと開札、落札。
西秋 :
オレンジエプロンで仕分けしてる人がいたら、それは僕ら(笑)
斉藤 :
市場がないときは、棚の整理をしたり、目録を作ったり。
西秋 :
古書店連盟の会議に出たり、営業に出たり。店でぼーーっとしてる時間は実はないんです。オレンジエプロンで神保町を小走りしてる人がいたら、それは僕(笑)
「街の歴史を継承しつつ、時流に乗る。それがイケブラ世代の役目」
Q :
お二人とも、お店の取扱分野の専門知識がかなり必要とされると思うのですが、特別な勉強や陰の努力があるのですか?
斉藤 :
もちろん、はじめはわからないことだらけでした。お客様から何かを聞かれても「わからない」の一言が言えなかったり…失敗もありましたね。
西秋 :
お客様の方が専門家な場合も多いので、接することが一番の勉強。話して、聞いて、覚える。とにかく覚える。「耳学問」です!
斉藤 :
父や先輩方の姿を日々見てるだけでも学ぶことばかり。そうやって数年経て、まだまだ100%の知識はなくとも、少しでも自信の持てることが増えてくれば、わからないことは「わかりません」と言えるようになる。そこでまたひとつの勉強になったり。そのへんは、きっとどんな職業でも同じですよね。
Q :
大変歴史のある古書店街の中で、若い世代ならではのチャレンジはありますか?
西秋 :
僕は、まず「本が売れない」じゃなくて、「じゃあ売ろうとしよう」と思ったんです。古本屋に限らないことかもしれないけど、待っているだけでお客様が来てくれる時代ではないですよね。
斉藤 :
例えばその1つの試みが、インターネット。今は神田古書連盟の公式サイト『BOOKTOWN じんぼう』で商品を買うことができるんです。お店に入りにくい方でも、ネットなら自由に閲覧できる。ナビブラ世代のような若い方々の古本へのとっかかりとしてもいいし、遠方のお客様にも便利になった。
西秋 :
もちろん、街に足を運んでもらうのが一番の理想だけど、門戸が広がったのはいいことだよね。
斉藤 :
普段はネットを利用しながら、古本まつりのようなイベントの機会に「じゃあ行ってみよう」と思ってくださることもあるし。
西秋 :
だから、イベントの告知なども、より積極的にするようになりました。今年の古本まつりで、ナビブラ・プロデュースで作ってもらったフリーペーパー『神保町おさんぽ手帖』もその1つ。古本屋以外の方々の視点に触れたり、情報をうまくミックスさせて流すことで、神保町に足を運ぶきっかけづくりになれば…と思ってます。靖国通りに『本と街の案内所』もできたし、いろいろな世代の方が、神保町に遊びきてくれるようになれば嬉しいです!
斉藤 :
古書店街だからと構えずに、お散歩を楽しむついでに、古本屋をのぞいてみてください。ぜひ心から、お待ちしております!