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    DJ大塚広子の「神保町JAZZ」
    2012〜15年掲載

古本高校の月1課題に頭を抱える新入生・テツヲ(左)。そんな彼をしごきながらも導く伝説の古本番長・ユキヲ(右)。どんな無理難題にも、その場の知恵とアイディアとユーモアで乗り切る即興系古本ユニット。新しい古本の愉しみ方を、身体を張って世界へお届け!

テツヲ

うーん……神保町は高い本が多い街なのに。たった千円でなにが買えるっていうんだ……。

 

ユキヲ

がははは!古校入学早々、悩んでいるようじゃのう。

 

テツヲ

学ランはいくら何でも無理がありすぎるあなたはまさか!

 

ユキヲ

そう、ワシが神保町にその名を轟かす古本番長ユキヲ様だ!若者よ!ワシが千円でも男らしく本が買える方法を教えてやる。さあついてこい!

テツヲ

小宮山書店のガレージセール@だ。賑やかだなー。

 

ユキヲ

オススメは何と言っても、「一冊でも三冊でも五百円」コーナーだっ!

 

テツヲ

純文学からベストセラー、画集に資料関係と種類も豊富ですね。

 

ユキヲ

おお!こ、これはワシが長年探しておったナブちゃんの自伝!こんなところに阿佐田哲也も!田崎真也まで!決めた!これで五百円じゃ!

 

テツヲ

ナブちゃんって(笑)なんすかそのメチャクチャなセレクトは。

 

ユキヲ

カァァツ!とにかく、このガレージセールはお手頃価格でジャンルも豊富、神保町は敷居が高いと敬遠していた人も足を運びやすいだろう。

 

テツヲ

確かに。さすがは古本番長。長年留年しているだけあるわ。残りの五百円はどこで使うんですか。

 

ユキヲ

ふふふ、聞いて驚くなかれ、次はここで和本を買うのだ!

 

テツヲ

松雲堂書店か。和本ってめちゃくちゃ高いんじゃ……

 

ユキヲ

普通の古本と同じでピンキリだよ。ほら、これを見なさい。

 

テツヲ

この箱の中のものは全部半額です」わっ、庶民的!

 

ユキヲ

「山陽文稿」上下が半額でちょうど五百円。これで千円使ったわけだ。

 

テツヲ

まさかの和本!番長すごい!今度は千円でぜひ女の子ウケする本を!

 

ユキヲ

任せとけ!次は東京古書会館のすぐ裏、かげろう文庫Aだ。ほら、キュートな海外の絵本が200円、そして軟弱なお前はこれで男をみがけ!

 

テツヲ

裕次郎の写真集が500円。男らしい!あ、番長これすごいよ。明治の肖像写真だって。誰か分からないけど、昔この人が確かに生きていたと思うとなんか不思議な気持ちになるな。三百円でこんなものが買えちゃう。

 

ユキヲ

店に並んでいる本も色々な人の手に渡りながら、その本固有の時間を過ごしてきたわけだ。それは値段や年代に限らず共通しているんだよ。

 

テツヲ

番長も相当年代物ですよね。いい加減学ランは見苦しいっすよ……。今年こそ一緒に卒業できるといいですね。

 

ユキヲ

だまらっしゃい!いいか、今日からお前をイッパシの神保町漢にするためにビシビシ鍛えていくから覚悟しろ!まずは靖国通りを百往復だ!

 

@小宮山書店のガレージセール、通称「コミガレ」。雨の日も風の日も毎週末開催している。

Aかげろう文庫の店頭棚。女の子が喜びそうな本がいっぱい。

B今月の収穫。ユキヲはナブラチロワ自伝から和本まで。テツヲは海外の絵本から、誰だかわからない肖像写真まで。見事二人とも千円ぴったりお買い上げ。

読書部の連載

とみさわ昭二の「古本“珍生”相談」 (連載中)

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