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    2012〜15年掲載

Ad-libooksの魁!就職活動:「世界一の本の街」にある古本高校。卒業が決まったAd-libooks。今度は就職活動!いざOB訪問へ!!

前シリーズ古本高校編はこちら!!

Ad-libooksとは
超名門・古本高校で出される過酷な指令をクリアするために組まれたテツヲ(左)とユキヲ(右)によるユニット。無事卒業が決まり、就職活動がスタート。憧れの(?)古書店主達に、「書棚の哲学」を直撃します!

OB訪問2 小野祥之さん
後編

前編はこちら!!


小野さんからスポーツだけではなく、神保町古書店街の“ここだけの話”を聞いて、思わず苦笑するユキヲ選手。 でも、街の活性化のためにタッグを組もうと意気投合!

現役選手よりも故人の
サインのほうが価値がある

ユキヲ 小野さんが古本屋として一番大切にしていることはなんですか?

小 野 古本屋はとにかく品揃えですよ。お客さんが「探している」と言われた本が見つかって売れるのは快感ですね。「ありません……」と答えるのは悔しい。かなりの割合で「あります」と言えたら、しかも前日仕入れたばかりのものだったりしたら、これほど嬉しい瞬間はないですよ。なんでもかんでもあれば良いわけじゃないけど、「ビブリオだったら」という期待に応えられるようにしたいですね。

テツヲ ところで、サインを売りに来るお客さんもいるんですか?

小 野 基本的に現役選手のものは、やんわりお断りしています。「もう生産されない」ところに価値があるわけで。だから坂本よりも当然スタルヒンのほうに価値があって、それは文学書でも、現存する人よりも亡くなった作家のほうに価値があるのと同じですよ。

ユキヲ 今の例えはよくわかるな。杉内でも内海でも阿部でも由伸でもそうだよね。

テツヲ 明らかに悪意を感じるっ! ところで、小野さんが今まで扱った品物のなかで一番印象に残っているのはなんですか?

小 野 日本のプロ野球創立にも大きく貢献した鈴木惣太郎さんという人がいますが、昭和9年のベーブ・ルース来日もこの方の尽力によるものなんです。その鈴木さんの家を取り壊すからと呼ばれたことがあって、大概のものは処分したというところに、なんとベーブ・ルースが来日したときのプライベートアルバムを発見! これはアッという間に売れましたね。

ユキヲ ではここで、小野さんの「書棚の哲学」を……。

小 野 パートさんにやってもらってるからなぁ(笑)。お客さんの心を満足させたいとか、売りたいものは目立つところに置くとか、それくらいですよ。でも最近は、ネットも店舗も本当に厳しくて。野球ファンが減ったのはすごく大きいし、正直言ってスポーツ古書のマーケットは自分が考えていたよりも小さかったと感じています。


売れ筋は、言わずと知れた「ミスタープロ野球」チョーさんこと長嶋茂雄と「世界の本塁打王」ワンちゃんこと王貞治が活躍した、昭和30〜40年代の書籍や書籍。
ビブリオのHPはコチラ!→ http://www.biblio.co.jp/

『ブック・オブ・ドリームス』を
求めて、「ビブリオ」を訪れてほしい!

ユキヲ 神保町は“野球発祥の地”(学士会館の脇にモニュメントがある)なんだから、ナビブラも盛り上げていかないとな。

テツヲ 同感です! いくら巨人が強くたって、全体が熱くならないと面白くないですよ!

小 野 去年は「東京野球ブックフェア」というイベントがありましたけど、神保町でもそういうジャンル別の試みができたら楽しいと思いますね。

ユキヲ 最後に、ビブリオさんのこれからの目標などを聞かせてもらえますか。

小 野 「ビブリオ」という名前を付けたのは、世界中から本屋だとわかるようにするためです。独立前にイギリスへ行って、「ヘンリー・サザラン」という古本屋に立ち寄ったことがあるのですが、コーナーが5つに分かれていてそれぞれに専門家がいる。「これは良いなあ」と思いました。そうやって様々なジャンルを扱えれば、まさに「ビブリオ」だなと。
 そんなふうにはじめは理念が大きかったんですけど、結局ごく狭い分野になってしまった。代々木をやめたのもじつは失敗だと思っていて、ネット時代になれば参考書はみんなダウンロードされるだろうと考えていたんです。
 でも未だにそうなっていないどころか、昔よりも高く取り引きされてさえいる。利益を増やして徐々に分野を広げるつもりだったけれど、ほとんど実現できていません。でも全然諦めていないんですよ。取材のときに、野球に絡めていつも話しているんですが……『フィールド・オブ・ドリームス』って映画知ってます?

ユキヲ ケビン・コスナーですよね。

小 野 「それを作れば、彼が来る」っていう言葉が出てきます。劇中では農夫がトウモロコシ畑を開いて球場を作ると、昔の英雄が来て野球を始める。それを古本屋に置きかえるなら、どんな分野でも集めさえすれば、その本を求める人が来る。つまり「野球の本を集めれば、野球好きが来る」と。それこそまさに『ブック・オブ・ドリームス』なのであって、だから自分の感覚を信じて、良いと思った本を売り続けることに決めているんですよ。



ペナントレースも佳境に入り、みんなで野球のポーズ! テツヲ選手は取材中、スマートホンで巨人戦のチェックに余念がない……。 ビブリオさんの取材だから、ま、いいか!

テツヲ …………………………………。

ユキヲ …………………………………。

小 野 あ、ちょっと格好つけすぎました?

ユキヲ とんでもない! こんなに綺麗にまとまったのは初めてなので、感動してるんです。

テツヲ いつも番長のどうしようもないオチで終わってますからね。

ユキヲ テキスト作ってるのお前だろっ!

来月(9/10)のOB訪問もお楽しみに!

読書部の連載

とみさわ昭二の「古本“珍生”相談」 (連載中)

Ad-libooksの魁!就職活動 (2012年5月〜2013年6月)

Ad-libooksの魁!古本高校 (2011年6月〜2012年4月)