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    2012〜15年掲載

ナビブラ神保町グルメ連載(毎月15日更新)定食ばんざい著者今柊二が行く!定食ホイホイ!「定食バンザイ!」「定食ニッポン!」などの執筆でおなじみの今柊二さん。全国各地の定食を食べ歩く今さんが「世界で最も好きな街のひとつ」と語るのが、ここ神田神保町!!この街の代名詞とも言える定食屋の魅力を、今さんならでは軽快な語り口で毎月お届けします!
普通にそばと丼が食べたい「桂庵」
ながら読みの落ち着き処
 白山通りを水道橋方面に歩いていくと、ステキな食事ポイントがいっぱいある。いもやなど有名なところもあるけれど、個人的に結構好きなのが桂庵。ここは地味だけどなかなか落ち着くことができる。神保町は立ちそばも良い店も多いけど、さすがに立ちそば屋では買ってきた本を眺めたりすることはできないからね。さて、桂庵は40周年記念ということで、かつ丼セット850円が750円に。ラッキー!これはいいやと思って、店内に入る。土曜の13時過ぎという時間だったが、細長い店内はほぼ満員。相席で座る。奥にテレビがあってまさに定食屋的雰囲気。他のメニューでもふだんでも玉子丼セット700円とか安めだ。変わったところではあさり丼セット750円もある。店の人に「かつ丼セット」を頼むと、「そばは冷たいのか温かいのか」と聞かれたので、肌寒いのであたたかくしてもらう。
美しいかつ丼セット
 注文後、日本特価書籍で買ってきた吉村曉『少年たちの満州』自由社を読みつつ待っているとセット登場。おお、なんとも配色が美しいかつ丼セット。たくあんが黄色いのがカラフルで、なおかつ、そばには揚げ玉とナルトと三つ葉が入っていてかっこいい。三つ葉はかつ丼にも載っている。机の上のすりゴマ器でそばにゴマをすっていれて、さあ食べよう。そばは細めで普通においしい。この「普通においしい」のがとても大事なのだと思いつつ、かつ丼を食べると、半熟の玉子がやわらかで、カツのエネルギーと合体して元気が出てくる。もりもり食べて、水を飲んでしばしぼんやりして席を立つ。会計時に、お姉さんに「この店、40周年なんですね」と問うと、「そうなんですよ」と。「私は20年前から来ています」というと「あら!」とほほ笑んでくれたのであった。
かつ丼セット

全体的にちょっと濃いめの味付けもなかなか癖になるのが桂庵。ネギが別皿でついているのもなんとなくうれしい。

くま

トンカツと学生の縁は非常に強くて、昔から学生街とトンカツの縁はとても強い。かつ丼は大正期に早稲田で成立した可能性が高く、また昔はカツライスというメニューがわりとあった。これは平皿のライスの上にただカツがどーんと載ったもので、私の通っていた横浜国大の第一食堂のメニューにもあった(1986年当時)。

店舗データ
店 名 :
桂庵

 

住 所 :
西神田2丁目1-13

 

電話番号:
03-3265-1039
桂庵の店舗外観