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    2012〜15年掲載

  利根そばがいつのまにか別の店になっていた。寒い冬の夕方、たまたま通りかかったので食べていくことにしよう。それにしても随分ときれいになったな。表でメニューを見るとセットでどれも手ごろな値段。よしっ、このミニかしわ天丼セット500円にしよう。
  店頭でチケットを買い、店内に入る。細長い構造は変わらない。店の奥にいるお兄さんにチケットを渡す。「ここ、利根そばと経営はいっしょですか?」と訊ねると、経営が替わったそうだ。なるほどね。ちなみに「かしわ天」は今から揚げるので2分くらい待ってほしいといわれる。はいはいということで、水を飲みつつしばし待つ。時間が微妙なせいか、店内はサラリーマンが1人食べている程度だ。そんな光景を眺めているあいだに、できたようだ。
  これはかなりしっかりとしたセットだな。蕎麦にはネギとワカメが入っている。太い麺だ。なんでも太切り田舎そばだそうだ。では、おつゆを飲もう。醤油味が強いが、かつおダシもきいていておいしい! 寒いので七味を入れる。おお、これで味がさらに引き締まった感じだ。
  続けて麺。"立ちそば"的なもっちりとした麺。これはこれでおいしい。続けてかしわ天丼。鳥肉を揚げて甘いタレに浸したようで、淡白な鳥の味と甘めのタレでかなりおいしい。さっぱりしているのに、肉を食べている満足感があるよ。 かくして、麺と丼を交互に食べていくと、結構なボリュームだった。利根そばがなくなったのは残念だけど、この「むぎなわ」にも通うことになりそうだなと思いつつ、最後の麺をすすったのであった。

いよいよ、『ファミリーレストラン「外食」の近現代史』(光文社新書)が1月17日に発売になる。執筆に足かけ3年もかかってしまったよ。終了後、今度は「とんかつ本」にかかっています。前の『立ちそば大全』もそうだったけど、単一テーマの本は楽しいが、おいしく食べるには、結構食べる間隔が必要。とくにとんかつは立ち蕎麦のように頻々とは食べれませんですね。


神奈川新聞社より
かながわ定食紀行 もう一杯!』(文庫)
好評発売中!!

イメージ
外観
店 名 :
むぎなわ
住 所 :
神田神保町1-12 シマダビル1F