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    DJ大塚広子の「神保町JAZZ」
    2012〜15年掲載

DJ 大塚広子の神保町JAZZ:人気美人DJ・大塚広子が贈る、珠玉の神保町セレクト!

DJ Hiroko Otuka
幅広く柔軟なJazzの切り口と、徹底した音源追求、繊細かつ大胆なプレイを持ち味に、DJ/イベント企画、執筆活動を行う。全国各地から、スペイン、フジロックフェスティバル、BLUE NOTE TOKYO、東京ジャズフェスティバル等に出演。日本のジャズ・レーベル、「TRIO」、「somethin'else」(EMI)、「DIW」(DISK UNION)、「Venus Records」のMIXCDを監修制作する。

オフィシャルHP http://djotsuka.com

第24回 都会の夜のBGM≪アメリカン・クラーヴェ≫って知ってる?Part2♪

Hiroko's Selection

  • Teo Macero

    @
    Teo
    Teo Macero

    1980年リリース。マイルス・デイヴィスやチャールズ・ミンガスのプロデュースで知られるテオ・マセロの楽曲をまとめたアンソロジー。サウンドトラックのように歴史をコラージュした見事なキップのプロデュースワーク!2001年に、当初の内容に加え1980年頃のセッションを加えた2枚組の再編集盤もリリースされています。

  • Alfred Triff

    A
    21 Broken Melodies At Once
    Alfred Triff

    2001年リリース。キューバから亡命し、ジョン・ケージらとも共演するヴァイオリニストの初のリーダーアルバム。“21世紀のバロック音楽フロムニューヨーク”といったような音質で、様々な記憶の断片が組み込まれた心象風景を描いたサウンドトラック。なかには男前な短編トラックもあってDJでも使える!2014年の新作も気になります。

  • El Negro & Robby

    B
    At the Thrid World War
    El Negro & Robby

    2002年リリース。レーベルを支えてきたエル・ネグロとロビーの初リーダー作。過去アメリカン・クラーヴェの音楽の中で試みられたあらゆる可能性が、彼らのユニットのなかに凝縮され今後のレーベルの新しい方向性を与えた作品。翌年にリリースされたセカンドアルバムは、ヒップホップやロック路線を強めたバンドサウンドでおもしろい!

  • Kip Hanrahan

    C
    Tenderness
    Kip Hanrahan

    1990年リリース。「Coup de tete」と「A Thousand Nights and a Night」の名盤を繋ぐ、90年代の最重要作品。これまでの音楽的アイデアを総括したドラマチックな展開をここぞとばかり濃厚に封じ込めた作品。スティングの他にもロバート・デニーロの前妻、ダイアン・エイボットも参加しています。

アメリカン・クラーヴェ
さらにディープな、この2枚♪

 前回で取り上げたアメリカン・クラーヴェというレーベルについて、もうちょっと知りたい!というお声を受けて今回は応用編をお届けします〜!前回はまずはこのレーベルを知るための入門的なアルバムを紹介しましたが、今月はもう少しこのレーベルのタイプを掘り下げてみようと思います。アメリカン・クラーヴェは、作品ごとに異種多用な作風があってそれがまた魅力!このレーベルのプロデューサー、キップ・ハンラハンは、映画制作の世界にも携わっていたということに前回も触れましたが、その色がとても色濃く表現された2作をまずご紹介しましょう。まずはキップが師事していたプロデューサー、テオ・マセロの楽曲を、今度は弟子のキップがプロデュースし、アンソロジーとして形にした@。作曲家として一番輝いていると感じた恩師の楽曲を、彼のもとで身につけた"まとめ技"で見事に一つの作品にしています。「作ること、そしてでっちあげること(笑)、すべてをテオから教わった。マイルスの演奏が7分しかなくてもアルバムを作れるんだ。優秀なビジネスマンであり、それを物語にしたということで最高のアーティストでもあるわけなんだ。だからこそ彼を愛するんだよ」というのはキップの弁。彼のこの意識はAでも伺えます。物語的な作品という意味でAは最高級の逸品。生々しい生きた感触と時代感ある芸術性が混じり合って、物語のように引き込まれてしまうアルバムです。

個性ある
この2枚もおすすめ!

 Aが発売される前には、タンゴの巨匠、アストル・ピアソラの作品がキップのプロデュースでリリースされていますが、そのピアソラに絶賛されたのがAのヴァイオリニスト、トリフでした。一時期のピアソラブームからこのレーベルを知って、さらにAにたどり着くというのは素晴らしい流れ♪さらに先に進んでAでのドラムを担当しているオラシオ・エル・ネグロ・エルナンデスとロビー・アミーンによるBは、これまでのキップの美学を超えてさらに様々なタイプの音楽が試された意欲作!ツインドラム・ユニットなだけに、彼らのコンビネーションで様々なラテンのリズムが試みられています。@Aがまとまりある内容なのに対し、こちらはコンピレーションみたいな感覚でこれまでのキップの作品が美味しいとこ取りで楽しめちゃう感じ!?先日配信した私のMIX作品にも、Bからの引用がたっぷり。飽きのこないダントツおすすめの作品です!そしてCは、イギリスの有名ミュージシャン、スティングを迎えた異色作!このラテン圏のイメージにスティング?と意外に思われるかもしれませんが、この90年代の時代の音色とパラレルですっごくハマってる!こういったアッと驚くミュージシャンの配置も、キップの才能ですね。今月の紹介作品はディスクユニオン(http://diskunion.net/jazz/ct/news/article/1/43389)のページでも特集されています。合わせてぜひご覧下さい!


ライブ情報

  • 4/25(金) 渋谷 The Room
  • 4/26(土) 北海道 釧路 club GREEN
  • 5/3(土) 香川 高松 黒船屋
  • 5/23(金) 渋谷 The Room

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