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    DJ大塚広子の「神保町JAZZ」
    2012〜15年掲載

DJ 大塚広子の神保町JAZZ:人気美人DJ・大塚広子が贈る、珠玉の神保町セレクト!

DJ Hiroko Otuka
幅広く柔軟なJazzの切り口と、徹底した音源追求、繊細かつ大胆なプレイを持ち味に、DJ/イベント企画、執筆活動を行う。全国各地から、スペイン、フジロックフェスティバル、BLUE NOTE TOKYO、東京ジャズフェスティバル等に出演。日本のジャズ・レーベル、「TRIO」、「somethin'else」(EMI)、「DIW」(DISK UNION)、「Venus Records」のMIXCDを監修制作する。

オフィシャルHP http://djotsuka.com

第35回 これぞジャズのスピリット♪

Hiroko's Selection

  • Rhythmatism

    @
    Rhythmatism
    Steve Reid

    1976年リリース。彼自身が立ち上げたレーベルからのリリース第一弾。なかでも12分以上に及ぶ「Kai」が圧巻!アーサー・ブライスのアルトをフロントに、しっかりとビートを刻むドラムにあわせて壮大な展開が繰り広げられます。中盤に収められている、思わずこぼれたスティーヴの歓喜の叫び声。この瞬間が、ジャズ!

  • First Impressions

    A
    First Impressions
    Shamek Farrah

    1974年リリース。アルト奏者シャメク・ファラーの初リーダー作。彼が送ったデモテープがレーベル主のスタンリー・カウエルの目に留まりリリースが決まったという逸話が。タイトル曲は日本のヒップホップ・グループ、マイクロフォン・ペイジャーのネタ曲として知られていますが、シャメクのラテンの経験が活きたクラーベのリズムも魅力です。

  • Music Inc.

    B
    Music Inc.
    Music Inc.

    1971年リリース。トランぺッターのチャールズ・トリヴァー、ピアニストのスタンリー・カウエルが組んだミュージック・インクというグループ。結成した後スタートさせたレーベルがこのストラタ・イーストです。当時トリオ・レーベルから日本でも発売されていました!「Abscretions」等今聞いても全く時代を感じさせないクオリティ!

  • Members, Don't Git Weary

    C
    Members, Don't Git Weary
    Max Roach

    1968年リリース。揺るぎないテクニックと精神力で圧倒的なドラムを聞かせるマックス・ローチ。本作に参加した駆け出しの新人たちは、その後スピリット溢れる作品を世に出し活躍することになります。なかでもスタンリー・カウエル作の「Equipoise」、「Effi」は心底から沸き上がる感情を詰め込んだ感動的なナンバー。

ジャズの原点は、
マイナー盤でした!

 早いもので連載を始めて3年間。今回が最終回です!サイトを訪問いただいた皆様ありがとうございます!毎月のこの場があったからこそ、リアルタイムで動き行くジャズを自分自身も楽しんで伝えることができました!感謝です・・・。この最終回では、私のフェイバリット・アルバムとして気合いの入ったジャズを4つお届けしようと思います。いわば私のジャズの原点なので、とてもパーソナルな作品なのですが、これからジャズを知る人にとってちょっとでもピンとくることがあったらいいな。私がジャズにはまり始めたのは10年位前ですが、それまでずっと抱いていたジャズは、お堅くて大人向けだという、食わず嫌い的な印象がありました。ショップに行けば、他のジャンルはアーティスト別なのに、ジャズだけ楽器ごとだったり。楽器を勉強していない自分にとってどことなく知識がなければ踏み込ませてもらえないようなイメージが先行していました。でも初めて@を聴いた時衝撃を受けました・・・!折り目正しくなくちゃいけないというジャズへのつまらない思い込みを断ち切ってくれたアルバムです。このドラマー、ジャズ界では全くマイナーです(笑)。ジャズを聞くには、人物と楽器を覚えてレーベルを勉強して、というところから入らなければいけないと思っていた私は、正直なんども挫折。でも@を聴いてそんなの関係ないんだと初めて思えました。

これこそジャズの
スピリット!

 この作品でインディペンデントのレーベルに初めて触れたことで、その独創的なジャズの存在に惹かれていきました。その流れで知ったのがストラタ・イーストというレーベルです。特にAは、ヒップホップのネタ曲としても再評価されてきていて、目についたこの斬新なレコード・ジャケット。なにか普通じゃないヒリッとした感じを覚えました。ストラタ・イーストは、ミュージシャンがオーナーやプロデューサーとして楽曲の権利を保有できるレーベルで、アフリカ系アメリカ人公民権運動を背景とする黒人の真の自立を目指した動きでもあります。その最初の作品がB。この内なるスピリットにジャズの魅力を感じた私は夢中になって関連作を調べることになりました。Cはまさにその基となる作品。ジャズの歴史を知るときに必ず名が出るドラマー、マックス・ ローチのリーダー作です。時代から追ってローチを知るには、ビバップ時代のチャーリー・パーカーまで遡ることになりますが、文脈ではなく、“感じる”ところからジャズはスタートするものだと私は実感しています。ジャズといっても本当に選び方、聴き方は人それぞれ。感じ方もそれぞれ自由なのがジャズです。そして言葉にできない熱いものを聴く人に植え付けてくれる音楽だと思います。この先も勇気をくれたり、暖かい気持ちになれたり、支えてくれる音楽。ぜひこれからもそんな気持ちになる音楽を届けていけたらと思います♪ぜひこれからも、あなたらしくジャズを楽しんでください♪


ライブ情報

  • 3/27(金) 渋谷 The Room
  • 4/9(木) 渋谷 The Room
  • 4/10(金) 池袋 KAKULULU
  • 4/12(日) 横浜 Motion Blue

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