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    2012〜15年掲載

ピエール大場の官能小説「路地裏のよろめき」

ピエール大場著者プロフィール
神保町にある某会社の開発本部部長。長野県出身。かつて「神保町の種馬」と異名をとったほどのドン・ファン。女性を誘うときの最初の言葉は、「美味しいもの食べにいきましょう!デザート付きで」
『NISSAN あ、安部礼司』HP

第八十二話『的の中心を狙わず、穴に直接入れること』

「的の中心を狙っちゃ、ダメなんです。中心の点を狙いすぎると、
当てようという意識が強くなって、結果、大きく的を外れてしまいます」
まつ子が言った。
「後ろの土手に当てず、スパッと直接ゴールに入るときの、
スァワッていうネットを揺らす音、あれがいいんです」
こずこずが言った。

まつ子は、アーチェリーを、こずこずは、バスケットボールを
学生時代にやっていた。
2人の話を聴いていて、涼川小夜子は、
下半身が熱くなるのを感じた。

すぐに的の中心を責める殿方がいる。
違う、違う、女性の的は、男性が思っているより、
広いのだ。
ざっくりと、ゆっくりと、外から攻めてくれればいいのに……。

何度そう、思ったか。
男性は支配したがり、屈服させたくなってしまうものなのか、
なるべく早く急所を突いて、昇天させようと躍起になる。
でも、この戦は、ボクシングのように、3分以内に倒せばいいのではない。
そう、アーチェリー。
的の中心の近くに、何本も何本も矢を刺すこと、それで女性は
逃げ場を失い、観念して果てる……。

すぐに土手に当ててくる殿方がいる。
違う、違う、そうじゃない。
強めに土手にドン!とボールをぶつけて穴に入っても、
快感は、ほとばしらない。
この闘いは、音が大事。
じらした後は、スパッとネットを揺らすだけ。
穴に、直接ズドンと入れば、それだけで点が入る、そう、
バスケットボール。
的の中心と、ゴールという名の穴。
2つに共通しているのは、心技体という裏打ち。
全てが備わったとき、最高の感動と興奮が体中を貫く……。

小夜子が、まつ子とこずこずという、美しいOLに出会ったのは、
神保町を紹介する楽しいYouTube『HSTチャンネル』を
通してだった。

『神保町で働くOLの日常をお届けします♪
笑いあり、驚きあり、涙あり?!(笑)
役立つ情報も投稿します?神保町を知りたい方、OLの日常を知りたい方、
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そんなYouTubeを見つけた小夜子。
超美人のまつ子とこずこずという2人が、
神保町の名店を紹介していく姿に
感動した。
可愛いだけではない、神保町愛にあふれている。
逢いたい……この2人に、逢いたい……。
神保町を知り尽くした男『ドラゴンズ校條』に紹介してもらい、
2人に会った。
まつ子もこずこずも、
「保険ステーション」という素敵な会社のOLだった。
2人は、通常業務の傍ら、この手間のかかる作業に
心血を注ぎ、魂を込めて更新している。

静岡県浜松市出身のまつ子は、言った。
「小夜子さん、私、神保町って人と人のつながりが深く、
あったかい街だと思うんです」
埼玉県越谷市出身のこずこずは、言った。
「小夜子さん、たくさんの地下鉄が通っていて、
こんなに便利な街なのに、下町の風情が残っていて、素敵です!」

小夜子は、うれしかった。
神保町を褒めてもらうと、まるで、自分を褒めてもらっているようで、
また、下半身に歓びが、溢れた。

HSTチャンネル

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HSTチャンネル

まつ子さんは、さくらももこさんが
イラストを画いている
『アミ小さな宇宙人』という本が
好きだと言う。
可愛いロマンティスト。
ふわっとひとを包み込む笑顔が素敵だ。
こずこずさんは、『ぐりとぐら』が
好きなデザイナーさん。
すらっと伸びたしなやかな肢体と、
涼し気な瞳が印象的だ。
この2人が更新している
『HSTチャンネル』、
ぜひ、チェックしてください!!