ナビブラ神保町 2015年1月特集

新春は蕎麦屋で日本酒

知ればおいしさ100倍「そばに置きたい本」読めばソバ通に

神保町界隈は老舗のお蕎麦屋さんが多い。昔から文豪に愛されたお店もあり、本の街・神保町らしく、文献を紐解いてみましょう。

  • 蕎麦談義、蕎麦辞典

    左『蕎麦談義』植原路郎著(1973年/東京堂出版)

     「そばは春夏秋冬のうつろう色を、音を、響きを、そのまま伝えてくれる。(中略)そばも時代とともに、店舗も様式も変転する。しかし、その根底を流れる日本独特の情緒は、万人の胸から離れることはない」。そばの歴史から風俗まで、蕎麦博士が趣味人のためにつづった、ソバ通への招待。「そば、蕎麦、ソバ」と使い分けているところがニクい!

    右『蕎麦辞典』植原路郎著(1972年/東京堂出版)

     「そばの味」「そば汁」「そば道具」「看板と広告」「蕎麦粉」「蕎麦産地」から「蕎麦奇談」「蕎麦文芸」「そば風習」に至るまで、15分類600項目以上の言葉を収録。その執念たるや、半端ない! 蕎麦を啜りながら頁をめくりたい、味がしみ込んだ辞典。

  • 江戸そば一筋、蕎麦処 山下庵、いまどき真っ当な料理店

    上『江戸そば一筋』堀田平七郎著(1995年/柴田書店)

     東京は浅草の老舗「並木藪蕎麦」の主人、故堀田平七郎がそば業界に、そしてそば好きの人々に遺した"江戸そばの神髄、その心と技"を語った1冊。いってみれば体育会系「蕎麦道」の書、まじめです!

    中『蕎麦処 山下庵』山下洋輔編著(2009年/小学館)

     「蕎麦もジャズも大人のもんだ!」「一期一蕎麦 あなたは蕎麦のある国に生まれたことを感謝する!!」という力強い帯のコピーが泣かせる。

    下『いまどき真っ当な料理店』田中康夫著(1996年/ぴあ)

     日本初のミシュラン誕生! 読者狂喜、グルメ業界震撼の一冊! 日本蕎麦の章では「松翁」が堂々のランクイン! 「質・量ともに満たされた神田一の蕎麦屋」として"真っ当度★2.5"をいただきましたっ!

  • 食卓の情景、蕎麥漫筆

    左『食卓の情景』池波正太郎著(1980年/新潮文庫)

     平成26年でじつに73刷を数える、食通の文豪・池波正太郎の名著。「ひとりで町を歩いていて、ひとりで酒がのみたくなったら、私はまず蕎麦屋でのむ。そして、酒がのみたくなるような蕎麦屋が、東京にはまだ、いくつか残っていることは、まことにうれしいことだ」。異議な〜しっ!

    右『蕎麥漫筆』多田鐡之助著(1954年/現代思潮社)

     古い本なので目次が面白い。曰く、「蕎麥禁制の寺」「吉原百人切とそば」「蕎麥屋の仇討」「蕎麥の本場は中野か」「ソバは獣類の嗜好物」「蛇酒入りのソバ」「更科と藪」……。写真は「落語とそば」の挿画。

  • もっとソバ屋で憩う、まんぷく東京

    左『もっとソバ屋で憩う』杉浦日向子とソ連編著(2002/新潮文庫)

     いまどき何が「ソ連」かと思ったら、杉浦日向子とともにソバ屋への愛を育む同好の士「ソバ好き連」の略。安くてうまい!ソバ屋の殿堂「神田まつや」、きどらない庶民性と冴える職人技「松翁」と、ここでも高評価!

    右『まんぷく東京』まめこ著(2014年/メディアファクトリー)

     今ふうのマンガで読むグルメ本。江戸前の天ぷらから、安くて美味しい市場めし、東京ラーメン、和スイーツ、各国料理まで食べ歩き! 「行かずに死ねない垂涎の37軒!」に、老舗蕎麦屋「神田まつや」の蕎麦湯が紹介されています。

資料提供/小野祥之(ビブリオ)

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