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先日結婚したばかりなのですが、京都へ一度も行ったことがない私のために、主人が京都旅行をプレゼントしてくれるそうです。初めての京都はとても嬉しいのですが、実は京都は主人が以前にお付き合いしていた女性との思い出の場所です。過去に嫉妬しても仕方がないということはわかっていても、なんだかモヤモヤしてしまいます。このままでは私は一生、京都旅行を楽しむことができません。心から京都旅行を楽しむためには、どうしたらよいのでしょうか?
(新婚ホヤホヤのOLさん/35歳)
『男性飼育法』
三宅艶子
(1958年/婦人公論7月号付録)
立ち向かって克服するか
いまを楽しく受け止めるか
わかるわかる、相談者さんの気持ちはよくわかる!
せっかく京都に連れて行ってもらっても、「この渡月橋は主人が前カノと手をつないで渡ったのでは……」とか、「ここのあんみつ美味しい……。でも、なんであの人がこんなお店を知ってるの? ひょっとして彼女と一緒に……」とか、いちいちロクデモナイ妄想が浮かんでしまう。それじゃ楽しめるわけないよねー。
京都がご主人とその前カノとの思い出の場所であることを、どうしてあなたが知ったのかはわからないけど、ともかくその事実が、あなたのトラウマとして重く心にのしかかっているわけだよね。それを取り除かない限り、あなたは一生京都を楽しめない。
トラウマを克服する一番の方法は、そのトラウマから逃げるのではなく、自ら立ち向かっていくことだ。『パシフィック・リム』でも、『ダイハード』でも、『クリフハンガー』でも、登場人物は自ら困難に立ち向かうことで、心にこびりついたトラウマを排除していく。ハリウッド映画はだいたいみんなそういうことになっている。だから、相談者さんも逃げずに立ち向かってみるといいよ。
……とはいえ、あなたはシルベスター・スタローンでもなければ、ブルース・ウィリスでもない。ましてやジプシー・デンジャーでもないので、立ち向かうといっても正面突破するわけにはいかない。そこでちょっと考え方を変えてみよう。
三宅艶子さんが書かれた『男性飼育法』という小冊子がある。この中の「夫の浮気」という一節に、こんなことが書いてある。
どうして男の人は浮気をするか。「それは男は浮気なものだから」ということはないのです。男にも女にも、同じように「浮気心」はあるのです。どんなに愛し合ってかたく結びついた夫と妻でも、両方に愛情とは無関係に「浮気心」がないとは云えません。
(中略)
男の浮気事件を起させるのは、女性が「自分にもある浮気心」を解さないで、まるで男は犯人、女は刑事みたいな立場に立つからということも云えるのです。
(P139〜140より)
おやおや、女性作家のわりにはなかなか進歩的なことをおっしゃいますな。でも、この著者は「夫が浮気をするなら妻もしてしまえばいい」と言ってるわけではない。男にとって一番に魅力があるのは人妻である、としたうえで、こうも言うのです。
夫と名のつく男性は、どんなに妻が眼を光らせても、みんなかくれて浮気をしています。同時に夫という男性はどんなに浮気者に見えても、決して浮気はしていません。この正反対の言葉が決して嘘ではないことを吟味して下さい。
夫はみんな温かい巣に帰りたいのです。そこで安心して眠りたいのです。妻が自分を監視する恐い刑事ではなく、他人には「一番目」に魅力ある女性だとわかったら、なおさら急いで帰ってきたくなるでしょう。
(P141より)
どうですか。過剰な心配はやがて猜疑心に化けて、余計な薮を突ついてしまうことにもなりかねない。それよりは京都旅行を楽しんだほうがいい。いろんな景色を見て、おいしいものをたくさん食べて、素直に喜びの感想を伝えるべき。そうして、ご主人に「ああ、妻を旅行に連れてきてよかった」と思わせるのが、二人にとってもっとも幸せな道だと思うよ。
京都で神社で
アフロでヒーリング
1冊目でだいたい解決しちゃったんじゃないかと思うので、もう1冊はちょっと違う方向からアドバイスを差し上げよう。
比企理恵という女性がいる。1979年に『恋のローラーブーツ』でデビューしたアイドルだ。彼女は36歳のときに『神社でヒーリング』という芸能人生命的にスレスレな感じのタイトルの本を出している。これは、子供の頃から初詣すらロクに行ったことのない無信心一家に育った彼女が、ある出来事をきっかけに神社めぐりをするようになり、神社とそこを取り巻く場のパワーの素晴らしさについて熱く語っている本だ。
神社にあまり縁のなかった私が、大人になってから急に、神社に足を運ぶようになったことには、深い理由があります。それは私が十八歳の時でした。信心というものからかけ離れた生活をしていた私に、目に見えないものの力を信じさせる強烈な出来事があったのです。
十八歳の時、私は何と子宮頸ガンだと診断されたのです。
(P25より)
『神社でヒーリング』
比企理恵
(2001年/実業之日本社)
誤診であることを願って3つの病院で診断を受けるも、やはり診断結果は変わらなかったという。彼女が告知を受けた当時は、子宮がんは子宮を取れば大丈夫、というのが医学会の常識だったようで、医師からはまるで盲腸を取るような口ぶりでそう勧められたそうだが、出産はおろか結婚だってまだこれからという彼女には、簡単に受け入れられることではない。
さあ、ここで彼女は神頼みとして神社めぐりを始めるのか! ……と言いたいところだが、まだそうはならない。
そんな時、私が頼ったのは神仏ではなく、ありとあらゆる民間療法でした。
(P26より)
そっちへ行ったか!
びわの葉温灸、ドクダミ茶、芳香療法、催眠治療、心霊療法などなど……世の中にある怪しげな治療法を片っ端から試したという。もちろんそんなことでガンが治ったら世話はないんだが、それでも彼女は様々な療法にすがって病院の治療も受けずに3ヶ月。
それから再び診察を受けてみると、何と「ガンが消えている」というではありませんか。
(P26より)
マジかー!?
このとき「信じるものは救われる」と思った彼女は、目に見えないものの存在や力を信じるようになり、神社めぐりに向かうようになるのだった。
えーと、なんの話だっけ? あ、そうそう。ともかく神社ってのは心が癒される場所だというわけよ。それはわたしも同意する。人が少なく静かな空間であることと、あと湿度。神社や寺には土と樹木と水場があるから、湿度が高く感じられて気持ちがいいんだよね。パワーがあるとかないとかは実はどうでもよくて、そういう空間に身を置くっていうのは、心のささくれを納めるのにいいと思う。
京都には神社とか寺がいっぱいあるから、旅行のついでにそういうところをめぐったりするといいんじゃないでしょうか。わたしからのお薦めは金戒光明寺かな。ここにある「アフロ地蔵」を見たら、つまんない悩みなんか全部吹き飛んじゃうよ。
悩み事があったらどんどん聞いてください。
本は"人生の知恵と経験"が詰まった宝庫だから、
なにかしらの回答が引き出せると思います!
お悩み相談はこちらまで!→ navibura@fusansha.co.jp
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