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先日、趣味の仲間と飲んで前後不覚になるほど泥酔しました。まともに歩けなくなり、仲間に両脇を支えられながら電車に押し込んでもらい、トイレに間に合わなくて漏らしたりとか、そりゃあヒドいもんでした。高級な純米酒をまるで湯水のようにガブ飲みし(ここまでは覚えている)、途中から記憶が完全に飛んで、気がついたら自宅で洗面器を抱えて朝を迎えていました(よく帰れたものだと思います、ホント)。当然、妻子には嫌がられます。でも、普段はそうでもないんですよ。みんなの中心になって"愉しいお酒"なんです。ところが何かの拍子に、3カ月に1回くらいの割合で見るも無残な泥酔状態に陥ってしまうのです。そんな私に効く本はありませんか?ウップ…!!
(普段はいい夫・いい父親のストレス山積みサラリーマン/42歳)
『緑の性格』
チチ松村
(2000年/新潮社)
心の柔軟さで、
緑の性格を得てみる
いつもは楽しく酒宴を過ごしていられたのに、あるときなぜか悪酔いしてしまう。これ、ぼくも経験あります。では、どうやってそれを防ぐか? 元々アルコールに弱い人なら飲まないようにするのが一番。でも、相談者さんはアルコールに対する耐性が標準的か、もしくは普通以上に飲めるようで、いつもは愉しいお酒≠味わってらっしゃるとのこと。それはたいへん結構なことである。
では、なぜ、たまにおかしなスイッチが入るのか。これ、ぼくの経験から言うと、無意識で溜め込んでいたストレスが、酒をきっかけにして暴れだすんだよね。普段は心の底に押し込めている何らかのストレスが、アルコールに酔ったことで表面に顔をのぞかせる。そうすると、いつもは抑制している飲酒ペースのタガが外れ、どんどんと泥酔の地獄に落ちていく。
相談者さんのストレスが、仕事に由来するものなのか、家庭内に事情があるのか、あるいはそれ以外のところに原因があるのか、それは他人であるぼくにはわからないけど、きっと何かはあるはず。そして、ここまで読んだご本人は、すでに「ああ、アレか」と察しがついていることだろう。それをどうにかして取り除くことだね。
ギターデュオ、ゴンチチのチチ松村さんは、暗いことばかりの世の中を明るく前向きに過ごすための方策として「心を緑色に染める」ことを提唱している。著書『緑の性格』によると、とにかく、いつでもどこでも緑のものを見つけて、それを見るのだという。
代表的なものは、もちろん草や樹木などの植物だけど、都会では緑の植物はだんだんと少なくなっている。そこで、チチさんは「緑の植物が少ないのなら、他の緑でもいいじゃないですか」と言う。
僕はついつい緑色の物を買ってしまうクセがあって、服やカバン、クツにクツ下、シャンプーやリンスの容器まで緑色の物を選んでしまいます。気がつくと、まわりは緑だらけです。
そう言えば、小さい頃から緑色が好きで、高校の美術の時間に自画像の顔の色を緑色に塗って、先生にほめられたこともありました。
(P18より)
植物がなかったら、他のものでもいいじゃないかと、すぐに考えを切り替えられる性格。チチさんは緑を見ているからストレスがないんじゃなくて、そういう心の柔軟さがストレスを遠ざけているのだろうね。
守る努力をしよう。
適正飲酒!
さて、そうは言っても毎日ぎゅうぎゅう詰めの電車に揺られ、職場と家庭の板挟みになっている働くお父さんに、ストレスを溜めるなというのは無理かもしれない。会社では上司から「この給料泥棒!」と罵られ、家ではボンクラ息子がゲームばかりやっている。おまけに奥さんはブサイクときたもんだ(そんなことまでは相談に書かれてないか)。
とにかく、そりゃ仕事帰りには酒場に寄りたくもなるし、たまには深酒だってするだろう。それをスッパリやめろとは、ぼくには言えない。だったら、せめて正しいお酒の飲み方を身につけたいよね。そんなときのために、マニタ書房の本棚から引っ張り出してきたのが『ヘルシー飲酒のすすめ』だ。
第二章「栄養的酒道入門」の中の「適正飲酒」という項目をここに引用しておこう。
『ヘルシー飲酒のすすめ』
馬場 昂
(1993年/第一出版)
(1)酒量には個人差があるので、自分の適量を知ること。一般的には日本酒ならば、一〜二合(一八〇〜三六〇ml)、ビール(大びん)で一〜二本、ウイスキーでは(ダブル)一〜二杯が適当である。
(2)毎日続けて飲まないこと。週に二日は"酒無し日"を設けること。
(3)"つまみ"などを食べながら飲むこと。ただし、肥満にならないよう注意すること。
(4)やけ酒はつい飲み過ぎるおそれがある。やはり、酒は楽しく飲むこと。
(5)強い酒は薄めて飲むこと。また、睡眠剤や精神安定剤などと一緒に飲まないこと。
(P42〜43より)
まあ、当たり前のことばかりが書かれている。でも、この当たり前を守れないのが酒飲みって奴なんだよな。ぼくもこの「適正飲酒」は、ほとんど守れていない。さすがに飲酒時に薬を飲んだりはしないが、一般的な適量の倍くらいは飲むし、毎日飲むし、つまみもあんまり食べない。唯一守れているのは(4)、やけ酒をしないことだ。
いや、以前はストレスからくるやけ酒をしたこともあるけど、古本屋をやってるいまは、ぜーんぜんストレスないの。好きな古本とレコードに囲まれて、バカなコラムを書いて暮らす。仕事が暇なら飲みに行く。
どうでしょう、相談者さんもこっちの世界に来てみては!(とても無責任な結論)
悩み事があったらどんどん聞いてください。
本は"人生の知恵と経験"が詰まった宝庫だから、
なにかしらの回答が引き出せると思います!
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