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先月、スナック菓子の「カール」が売り上げ不振で8月以降より中部地方以東での販売を終了するという悲報がありました。あたしはビールのお供にこの「カール」を好んで食べていたのですが、関西では継続して販売するそうです。関西人がうらやましい! で、とみさわさんがオススメするビールのつまみは何ですか? この相談(質問)を古本で切り替えしてくださいね
(「お酒はビールだけ」の独身OL/33歳)
『刺身党がうなる本』
六角 弘
(1977年/大陸書房)
波紋を呼びそうな
「干支はどこまで食えるか」問題
カール、残念だよねえ。ぼくもカールは大好きでしたよ、カレー味だけは! 販売終了の理由が「売り上げ不振で」とか言うけど、ぼくの印象では、ここ数年どこのコンビニに行ってもチーズ味しか売ってなくて、カレー味が見当たらないの。なぜっ!? 売ってないんだから買えるわけないじゃん。カールのカレー味こそは歯くそフード界の頂点なのに!
歯くそフード…いやいや、スナック菓子に話を限定して言うと、ぼくは「サッポロポテト」のプレーンな塩味(正確には"つぶつぶベジタブル"という)も好きで、よく家ビールのお供にしている。これはだいたいどこでも買えるからいいね。
あと、ぼくら1960年代生まれは「かっぱえびせん」の「♪やめられない、とまらない〜」というキャッチコピーに呪われた世代なので、これもコンビニで見かけると、つい買ってしまう。風呂あがりによく冷えた瓶ビールの栓を抜いて、えびせんをつまみにグビグビやるの、本当に最高だよねー。かっぱえびせんを考えた人(カルビー創業者の松尾孝)を表彰したい。
ビールに限った話じゃないけど、以前、飲み仲間と議論した話題に「干支はどこまで食えるか問題」というのがある。丑(ウシ)、卯(ウサギ)、午(ウマ)、未(ヒツジ)、酉(トリ)、亥(イノシシ)あたりはいいよね。普通に食べさせてくれる店がある。
子(ネズミ)は、ぼくは未食だけど、中華料理にあったはず。辰(タツ)は、さすがにドラゴンなんて実在しないけど、タツノオトシゴだと解釈すれば、薬膳にあるのでなんとかなるだろう。巳(ヘビ)は小学生のとき父のみやげで食べさせられました。
さて、残る3つは、まず寅(トラ)。これについては、『刺身党がうなる本』という本の中にこんな記述がある。
京都に「しがらき」といういっぱい飲み屋がある。親父さんはキザッペが大嫌いで、オツにすましたアベックがいこうものなら、男は生きたドジョウを一〇匹、女には牛の陽物(ママ)を最初にだし、これをたいらげないうちは注文もきいてくれないほど。ここで数年前、常連だけに"虎チン"をだしたことがある。虎は千里を走るというのでそのスタミナにあやかろうというわけだが、何分貴重なもの。一人あたりほんの何ミリという料理だった。
(P.229より)
虎チン、食べたかー。ぼくも食べてみたい気がするけど、なにしろこの本は1977年発行だから、その「しがらき」って店はもうないかもしれないし、そもそも大陸書房の本なのでこの話が本当かどうかも眉唾ではある。
十二支の中でもっともハードルが高いのが、申(サル)だ。『インディジョーンズ』かなんかで猿の脳みそを食べる場面があったけど、あんなことを現実に体験させてくれる店はあるのだろうか。たとえあったとしても、猿を食べるというのは、同じ霊長類としてタブーに触れる緊張感があるね。
…と、ぼくらは新大久保の某韓国料理屋で、ポシンタン(犬鍋)をつつきながら、議論していたのだった。
麺類はだいたい塩分が強いのでビールに合う。
そしてぼくは、麺類をつまみに飲む
もう少し、まともに食べられるものの話をしよう。ぼくは常々「麺類をつまみに飲む」というのを実践している。と言うと、町の中華屋で餃子とビール、その後にシメのラーメン、と考える人がいるだろうけれど、それはちょっと違う。ラーメンはシメでなく、最初に頼んでつまみにしなければいけないのだ。まあ、のびていくのでそれをする人はあまりいないだろうが。
麺がのびてしまうことは、麺で飲む活動を考えるうえで、切っても切れない問題である。そんなとき、酒友の一人からいい店を教えてもらった。町田市にある「柿島屋」という馬肉料理の店。ここは、鍋のトッピングに生玉子や野菜類と並んで「そば玉」がある。これを馬鍋の中に入れて、くつくつと煮込みながら飲むのである。
ここで言う「そば」とは、日本そばのことだ。そんなものを鍋で煮込みながら飲んでいたら、そばはすぐにのびてしまって、つまみになんてならないだろう。ところが、ここのそばは「自家製」で、どれだけ煮込んでものびることがない。だから、鍋を前にして、味の染みたそばを1本2本つまみながら飲む。ビールにも合うし、焼酎、日本酒にも合うのだ。
ぼくの趣味のひとつに「日本全国のご当地麺の食べ歩き」というのがある。北は北海道の4大ラーメン(札幌の味噌、旭川の醤油、函館の塩、室蘭のカレー)から、南は沖縄のソーキそばまで。そうしたご当地麺を考えた人たちは酒のつまみにするつもりで作ったのではないかもしれないが、麺類はだいたい塩分が強いので、ビールのアテにはけっこういける。
『全国ご当地麺紀行』
はんつ遠藤
(2003年/ゼネラル・プレス)
どの土地にどんな珍麺があるかはインターネットでも検索できるが、ぼくは『全国ご当地麺紀行』という本を参考にして、自分好みの麺をリストアップした。なかでも、長野県の伊那にある萬里の「ローメン」には興味を惹かれた。本にも食べ方が書いてある。
壁に貼ってある「食べ方」に準じてみる。まずその1。ソースと酢をかけてみる。ありゃ、酸っぱくなっちゃったぞ。ソースも酸味が強すぎ。そこでその2。ゴマ油と七味トウガラシとおろしニンニクうぃかけてみる。おお、ゴマ油の香りとベタベタ具合がいい感じで酸っぱさを抑えた。そしてなんといってもおろしニンニク。味にコクが加わり、しかもパワー全開!
(P.60より)
食べていくうちにどんどん味が変わるのがおもしろい。しかもソース味。こりゃビールに合うに決まってる。でも、哀しいかな去年食べにいったときはクルマを運転していたので、ビールというわけにはいかなかった。いつかリベンジしてみたい。
他にも、名古屋の味噌煮込みうどん(熱々の口の中にビールを流し込みたい!)や、徳島ラーメン(これも味が濃いのでビールが合うはず)、新潟のへぎそば(これは冷えた日本酒だろうねえ)……と、酒や麺の話をし始めると止まらなくなるので、今回はこの辺で。
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