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    2012〜15年掲載

12月のお悩み

  とみさわさん、こんにちは。いつも楽しく拝見しています。さて12月というのは独り身にとっては酷な月で、何といってもクリスマスがいけません…。街中にジングルベルが鳴り響き、カップルやファミリーで祝わなきゃ損、損!という感じで、敵意すら覚えます! 彼女いない歴8年になるのですが、こんな私にクリスマスをどう過ごしたらいいのか教えてくれる本はありませんか?」

(残業多しの印刷営業マン/34歳)

 


『変装の技術』
 川又一英、宇田川東樹

(1977年/風濤社)

美女に変装して
聖夜に繰り出そう!

  彼女いない歴8年とおっしゃるが、言い換えれば8年前までは彼女がいたわけで、その程度のことで嘆いていたら、世の中の無数の「年齢=彼女いない歴」な皆さんから呪われますね。34歳といえば働き盛りじゃないか。女なんかに目もくれず、バリバリ働けばいいのだ。そうすれば女なんか向こうから寄ってくる!

  …と、昭和の上司だったらそう言うところだけど、世の中そう簡単にはいかないよね。こちらが何らかの行動をしなければ、女性との出会いもない。そういえば、ぼくが女房と知り合ったのも34歳のときだったな。合コンで!(笑)

  えーと、ご相談は「どうしたら彼女ができるか」じゃなくて、「クリスマスをどう過ごしたらいいか」だったね。まあ、普通に過ごしたらいいのではないかなー。彼女がいようが、いまいが、12月25日は1年365日のうちの1日でしかないんだから、特別に考えることはないよ。うっかり外に出るからカップルを見てしまうわけで、そんなときは家に引きこもって愉快な映画(たとえばシュワルツェネッガーの『コマンドー』とか)でも見たらいいんじゃないか。

  どうしても外に出たいなら、変装とかしてみるのはどうか。話が飛躍してますか? いや、手元に『変装の技術』っていう本があったもんでね。クリスマスを特別な日だと思うなら、何か特別なことをしてみればいい。そこに変装はうってつけじゃないかと思うんだよね。

  この本には、様々な職業や立場の人に化けるためのテクニックが書かれている。まともな職業も多いけど、家のない人とか、戦争で大怪我を負って働けないので施しを求める人とか、千代田区の真ん中に住む人とか、不用意に言葉にできない人たちへの変装も多い。そんな中から、比較的、変装がやりやすそうな「女装」なんてどうだろうか。

  たとえば、女が鏡の前にすわっている。そして、口紅、ほお紅、アイライン……目の前で瞬間瞬間に変わっていく女の顔を見つめながら、男は思う。なぜ、俺は男であり、女であってはいけないのか、と。男が女になる──それは決して超えることのできない深い淵だけに、ひどくスリリングな妄想だ。
(P.55より)

  そして髭を剃ることから始まって、次にメイクの手順が解説される。女装が決まったら、あとは街へ出てゆくだけだ。もし、いい男にナンパされたら……それはそれで新しい人生がひらけるかもしれないね。

自分がサンタクロースになって
クリスマスを楽しもう!

  いっそのこと、全力でクリスマスに取り組んでいくってのもいい。恋人なんかいなくてかまわない。恋人がサンタクロースどころか「本人がサンタクロース〜♪」になっちゃえばいいのだ。

  マンボミュージシャンのパラダイス山元さんは、グリーンランドの国際サンタクロース協会から公認を受けたサンタクロースであることでも知られる。そんな山元さんの出した本『サンタクロース、ライフ。』では、彼がどうしてサンタクロースになろうと思ったのか、次のように語られている。

  人生の半ばに差しかかり、これまで他人に出来ないこと、好きなことばかりを追求してきた私としては、これからの人生をさらに楽しく生きていくには、サンタクロースになるというのも悪くないな、と思うようになってきました。もしサンタクロースになれたら、こうしよう、ああしようなどというビジョンは当初はありませんでした。けれども、自分自身の可能性を探りつつ、楽しみながらできることであれば、挑戦してみる他ないなと。
(P.19より)



『サンタクロース、ライフ。』
 パラダイス山元

(2002年/ヤマハ)

  山元さんは、ミュージシャンになる前は自動車メーカーでカーデザイナーをしていた。それがひょんなことからミュージシャンになり、サンタクロースにもなった。手作り餃子の「蔓餃苑」の主人という顔も持つ。とにかく、やってみたいと思ったことはなんでも挑戦する、好奇心のかたまりのような人だ。

  ちなみに、この本が刊行された2002年の時点で、公認サンタクロースは全世界に約120人ほどいるそうだ。その男女比は7:3くらい。サンタというと、白髭のおじいちゃんなイメージがあるが、思いのほか女性が多い。

  しかも、公認サンタクロースの出身国を見ると、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーといった北欧の国々が多数を占めている。この本にはサンタクロースたちのパレードの写真がたくさん掲載されているのだが…とにかく美女ばっかりである!

  どうだろう、サンタになりたくなってきたのではないかな。自費でグリーンランドまで行って、厳しい面接を受け、認定試験を通過し、最後には体力測定まで受けなければならないけれど、見事サンタになった暁には、北欧美人のサンタさんと仲良くなれる、かもしれない。

  本人がサンタクロース、の先に待っているのは、やっぱり「恋人がサンタクロース」だ!










次回もお楽しみに!

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