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    2012〜15年掲載

7月のお悩み

  夏バテが酷くて、体がだるくて、いつにも増して仕事に身が入りません…。ふとテレビを見ていたら、熱帯地方の原住民(とでも言うのでしょうか?)の方々は、40度近い暑さにもめげずに働いているのを見て、わたしもまだまだ甘いなと思いました。ズバリ! 夏バテ解消法の本ってありませんか?

(神保町古書店勤務の“力仕事はつらいよ”の女性/31歳)

 


『アマゾンの裸族』
 ヘルムート・シック、鬼生田貞雄訳

(1964年/二見書房)

一糸まとわない裸族といえども、
たき火は絶やさない。
ぼくは全裸になるかわりに、
餃子とキンキンに冷えたお飲み物

  いやあ〜暑いっスね〜。ぼくは気ままなフリーランスなので、背広ともネクタイとも無縁の生活。夏は毎日アロハかTシャツに、下は短パンで過ごしてる。相談者さんもあんまり暑いなら、いっそ全裸とかどうです? 時代は裸族ですよ!

  そう言って、とみさわはマニタ書房の「秘境と裸族」コーナーから(本当にそんなコーナーがある)、すっと1冊の本を抜き出した。昭和39年発行のその本の表紙には、『アマゾンの裸族』と書いてある。

  これは未開の地アマゾン流域に暮らす裸族と野生生物との闘いを記録したものだ。…というのは表向きの理由で、実際には裸で暮らす原住民の生態を興味本位で追いかけたもの。いまだったらポリコレ的に当然アカンのだけど、昭和の時代にはこういう本が山ほど作られたんだね。いまは使っちゃいけない言葉がタイトルになっている本とかもたくさんある。

  それはさておき、アマゾンの気候はデルタ地帯こそ28度くらいのものだけど、西側に行くと40度にもなる。そりゃあ裸族にもなりたくなるってもんだ。

  ところが、暑いばかりならそれはそれで対策のしようもあると思うのだが、よく言われるように、熱帯地方は昼と夜の寒暖の差が激しいから、話はそう簡単ではない。

  熱帯とはいえ、乾季には夜ともなれば寒さも相当ひどくなるので、一糸もまとわない裸族たちは、たき火を絶やすことはできない。熱帯では少しの気温の変化でも、かなりつよく感じられるからである。
  そのくせ、私たちがシャツやズボンなどをくれてやると、そのよろこびようはたいへんなものだが、彼らはそれを夜つかおうとはしない。昼間だけ──それも焼けつくような暑熱のときでも着ているのだ。

(P.87〜88)

  裸族もラクじゃないね。ぼくは「やけに暑いな」「こりゃバテそうだな」と感じたら、全裸になるかわりに、とっとと中華そば屋かなんかに入って餃子とキンキンに冷えたお飲み物を頼んじゃう。これもフリーランスの特権。

  しかし、古書店に勤務されてるという相談者さんは、そういうわけにもいかないか。さて、どうしたものか…。

『バスタオル健康法』『左手の指そらし健康法』もいいが、
キミは毎日プリンスメロンを買える…だろうか?

  ここでふたたびマニタ書房の棚を見渡せば、「病気と健康」というコーナーが目に入る。ここには、奇病にまつわる本や、怪しげな健康法の本などが並んでいる。とくに健康法の本は味わい深いものが多い。

  たとえば『バスタオル健康法』。これはバスタオルを使った体操で、骨格の歪みを直すというものだ。O脚や外反母趾も簡単に治ると、安請け合いしている。

  たとえば『左手の指そらし健康法』。なんのこっちゃ?と疑問符が7つくらい頭上に浮かぶが、どうやら左手の指をそらしてみることで、病気の兆候がわかり、さらには病原を消すこともできるのだという。やっぱりなんのこっちゃ?である。

  たとえば『入浴健康法』。そりゃあ誰だって風呂には毎日入るもんだし、それが身体を清潔に保ち、血液の循環も良くするのは自明のこと。わざわざ本を買って読む意味があるのだろうか?

  と、このように役に立つかどうかはわからないが、健康法の本はいろいろ見ていくとひたすら楽しい。だが、楽しいばかりでは相談者さんに申し訳ないので、少しは役に立ちそうな本を紹介しよう。それは『生ジュース健康法』だ。



『生ジュース健康法』
 飯塚律子

(1977年/池田書店)

  この本には、様々な季節、様々な症状に効果的な、生ジュースの作り方が掲載されている。それらの中から「ミックスベジタブル・夏」のレシピをご紹介しよう。

  <材料>
サラダ菜中 1/2株、トマト大1/2コ、プリンスメロン中1/4コ、パセリ20g、レモン1/4コ、パイナップル100g、セロリ30g

  <作り方>
(1)プリンスメロン、パイナップル、トマトは皮をむく。 (2)(1)の材料とサラダ菜、パセリ、セロリを合わせ、ジューサーにかけ、レモン汁を加える。

  <メモ>
パイナップルやメロンの香りで野菜のくせが、すっかり消えて美味。夏に必要な栄養をたっぷり含んだ、夏バテ防止に抜群のジュース。美容と健康のために毎日どうぞ。
(P.81より)


  毎日プリンスメロンだのパイナップルだの買ってたら、夏バテする前にお財布の中身がバテてしまいますなー。










次回もお楽しみに!

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